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確実に言えることは、温暖化すれば気候が大きく変わるということです。
むしろ、地球が暖まることよりも、気候が変動することの方が、悪影響が多いと考えられています。
それで、研究者は地球温暖化のことを「気候変動」と呼びます。
大雑把に言うと、気温が上昇すれば地表からより多くの水が蒸発するので、乾燥地域は更に乾燥するでしょう。
農業を潅概用水に頼っている乾燥地域では、影響は深刻です。
その一方で、空気中の水蒸気が増えますから、雨も多くなるでしょう。
そして困ったことに、水が蒸発する地域と雨が降る地域は同じではありません。
大雨の起きやすい地域では雨量がさらに増え、水害の頻度と規模が高まるでしょう。
水が足りないところでも、多くて困っているところでも、状況がより悪くなるということです。
また気温が高くなれば、空気はより多くのエネルギーを蓄えます。
その結果、台風はより強く、大きくなるでしょう。
暖かい海は台風にエネルギーを供給します。
フィリピン沖で生まれた台風が、日本に上陸すると急速に勢力が弱まり、日本海に抜けた頃には温帯低気圧に変わるのが、これまでのパターンでした。
陸上や海水温が低い日本海上では、暖かい太平洋上のようにはエネルギーが供給されません。
その結果、台風はどんどん弱まります。
太平洋の海水温が上がれば、台風はより多くのエネルギーを得ることになるので、より強くなり、より長時間暴れまわることになります。
将来の地球温暖化が深刻だと考えられるのなら、それを防止し、被害を深刻化させないための努力をしなければなりません。
新たな制度を作って、人々にしたがってもらわなければいけません。
もちろん費用もかかりますし、政府や国際社会の意思決定が必要も変化するでしょう。
アメリカが将来にわたって京都議定書に加入することは絶対ないと、言い切れるでしょうか。
こうした様々な不確定要因も、パラメータ(変数)としてコンピュータに入力しなければいけません。
結局、将来予測を行なうには、シナリオを立てるしかない。
22世紀前半には各国の経済はこうなっていて、それぞれの国ではこのくらいの真剣さで地球温暖化対策を実施し、技術はここまで進歩したとする、という筋書きを、悲観的なものから楽観的なものまで何通りも用意し、それぞれについてシミュレーション(予測値の計算)を行うのです。
シナリオによって予測結果が変わるため、気温上昇の予測値にも大きな開きがあるのです。
とはいっても、2005年にアメリカ東南部を襲った大型ハリケーンが地球温暖化の影響であるとは断言できません。
他の悪条件が重なって、たまたまできてしまったのかもしれないからです。
毎日毎月の「気象」は変化します。
長期的な「気候」であっても、太陽活動の影響などに左右されて変動します。
地球温暖化で気温が3℃上昇するといっても、それがどう大変なことなのかと思う人もいるでしょう。
今日の最高気温が昨日より3℃高く、平年より2℃も高いなどということはよくあることです。
しかし年平均気温と毎日の気温は、まったく意味が違います。
1994年、日本は記録的な猛暑に見舞われました。
西日本各地の渇水は深刻で、四国の瀬戸内側や九州北部では貯水池が底を突き、1日に2〜3時間しか水道から水が出ない地域もありました。
エアコンがたくさん使われたために電力需要が急増し、T電力は他の電力会社から電気を買って、なんとか凌いだそうです。
この年の夏の平均気温は平年より2℃高かったのですが、年間の平均気温では1℃高いだけでした。
それから3年後の2004年にも、暑い夏が来ました。
日本の妬地点で最高気温の最高値が記録され、東京都心部では40℃近くまで上昇。
1946年に気象庁が統計をとり始めて以来、最も暑い夏でした。
この年は雨も多く、兵庫県洲本市や愛媛県宇和島市では降水量も新記録を更新しました。
4月には超大型台風恥号が高知県から千葉県まで日本列島を横断し、100名近くが死亡あるいは行方不明になりました。
この年の年平均気温は、暑かった東日本でも1.3℃高かっただけです。
逆に平均気温が1℃低くなると、違った意味で大変なことになります。
歴史をふりかえると、世界各地で冷夏のために農作物が大打撃を受け、人々が餓死する飢鐘が繰り返し起きてきました。
そういう年の年平均気温は、だいたい平年より1℃くらい低いだけなのです。
このように、平均気温の1℃の高い低いが社会に深刻な影響を与えます。
けれども、こうした異常気象は何年も続くわけではありません。
翌年になれば、平年並みの夏がやってきます。
地球温暖化は、これよりも大きな気温上昇をもたらし、それが数十年間ずっと続くのです。
夏がちょっと暑くなり、海面が何cmか上昇するという程度ではすみません。
社会のあらゆる面で、いろいろな影響が現れるでしょう。
そして、良い話より悪い話のほうが圧倒的に多いと考えられています。
中央環境審議会では、地球温暖化に伴う様々な影響予測に関する文献を調査し、どのように対処するべきか検討を重ねています。
その中で、地球温暖化の影響を「タィプー」と「タイプ2」とに分類しています。
タイプーとは「累加的な影響」で、じわじわと現れてくるものです。
平均気温の上昇や海水面の上昇、風水害や白干越など自然災害の(比較的ゆっくりとした)増加、そしてそれに伴って起きる様々な影響など。
マラリアが日本に戻ってくるとか、害虫が増えるとかいうことも含まれます。
これまで論じられてきた地球温暖化の影響は、主にこのタイプでした。
徐々に強まる変化が、我慢の限界を超えるか間もなく超えてしまいそうだという時になれば、意思決定者(政治家)も決断を下して温暖化対策に乗り出すでしょう。
これに対して、タイプ2の「破局的かつ不可逆な影響」はもっと深刻です。
地球温暖化の結果、地球上でとてつもない大変化が起き、もう後には戻れないというのです。
タイプーの場合では、悪影響にどこまで耐えられるかがポイントで、それは国によっても違ってきます。
しかしタイプ2の影響が本当に現れるとしたら、温暖化を止めるか止めないかで議論している場合ではありません。
もうひとつのタイプ2の影響が、急激な気候の寒冷化です。
地球温暖化の結果が寒冷化とは不思議な話ですが、2004年に日本でも公開された「D」は、こうした状況が起きたらどうなるかというSF映画でした。
映画では、寒冷化が数週間という短い期間で進むように描かれています。
そうしなけタイプ2の具体例のひとつとして、西部南極氷床の崩壊が考えられています。
地図を見ると、ニュージーランドの南の先のところで南極大陸が大きくえぐれています。
ここの海面下の岩盤に、西部南極氷床と呼ばれるとてつもなく大きな氷が乗っています。
肥万価と日本の国士面積のおよそ2.5倍の大きさですが、この氷が過去1万年の間に徐々に縮小しているのです。
西部南極氷床が完全に崩壊するようなことがあれば、海水面は4〜6m上昇すると考えられています。
タイプーの海面上昇は数十mのレベルですから、こちらの方の影響は計り知れません。
多くの科学者は氷床が完全に崩壊するまでには数千年かかると考えていますが、気温が3℃上昇すれば崩壊が始まるとする科学者もいます。
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